一方で同じ派閥の重鎮であった青木さんは「彼もちゃんとすれば派閥としては総裁候補になれるのになんで仲間を作ろうとしないのか」と愚痴を言っていた。
ところが、参院選挙区が鳥取・島根の合区となり青木さんが息子さんに議席を禅譲する流れになり始めた時から、鳥取選挙区での石破さんの選挙の強さが無視できなくなり、お互いが補完関係となってきた。
そして石破さんは身を粉にして青木さんの息子さんの選挙のために奮闘し、強い政治力を持つ青木さんの信頼を勝ち得た。
麻生さんとの人間関係も党総裁として得意の粘り強さを使って改善していくかもしれない。
石破派だった議員はいまなにを考えているか
石破さんは念願の防衛庁長官に任命してくれた小泉純一郎前首相に強い恩義を感じていることを公言している。子息である進次郎氏に本気で恩返しをしようとしているのだろう。
ただ、そもそもの石破派であった中堅議員の中には党や内閣で十分活躍できる人もいたのだが、意外に今のところその人たちの処遇がわからない。
政治家の愛憎関係は一瞬で変わるものでもある。党内融和が不可能なわけでもないが、あの百戦錬磨の方たちの間でバランスをとる作業は、考えただけでゾッとする。批判するのは簡単だが、実際調整するのは至難の業だ。
特に今回の就任のタイミングは、選挙のサイクルが与党にとって最悪に近いものがある。総理が実施時期を選べる衆院選を乗り切っても、時期が確定している参院選挙が来夏にはある。参院選は時期的に通常国会を乗り切らないと勝利は難しい。参院選の結果次第で退陣させられた首相もいる。