精強性維持は国家の要請

 防衛の最終局面は領土への接近や占領の拒否という武力行使であり、自衛隊は体力に優れた精強な部隊でなければならない。

 そのために大半を占める隊員の募集年齢は33歳未満で2年間(陸自、海・空自は3年間)、爾後希望によって2年ごとに延期する任期制をとっている。

 国家の要請で自分の命を犠牲にすることも入隊後の教育で分かってくる。それでも逃げずに隊員として勤務する決意を変えない。

 競技等における単なる勝ち負けではなく、言うなれば古代ローマの死を懸けた格闘にも等しい。

 任期制のために毎年2万人以上の若者を募集し、任期を終えた隊員は社会に出て再就職することになる。

 生涯の職業として自衛官になった者も、精強性維持の観点から曹クラス(旧下士官)から尉官(幹部)以下は54または55歳、佐官は56または57歳で定年となる。

 ほんの一部の将官だけが60歳(統幕長および各幕僚長の4人のみ62歳)定年である。

 すなわち一般社会の定年よりも5年も10年も早い若年での定年となっている。

 募集難や部隊の機械化、デジタル化などから少しずつ年齢制限が緩和されてきたが、精強性維持は不可欠の条件で任期制や若年定年制を取らざるを得ない。

 若年維持は国家の要請であるから、任期制で辞めた隊員は言うまでもなく、若年定年の隊員の社会復帰も第一義的には国家の任務とするのが至当ではないだろうか。