おわりに

 防衛省は毎年防衛白書を発刊している。500ページ前後の大冊ではあるがカラー刷りで他省庁の白書と比べて一番の人気だと聞く。

 それでも国民の多くにとってはやはり無関心の白書でしかないだろう。

 しかし、自分の安全、家族の安全となれば話は別ではないだろうか。

 正当防衛や緊急避難は個人ばかりでなく国家にもある。自分や家族の安全から国際情勢に視野を広げ、自衛隊と米軍の状況などに言及して日本の安全を描くのは漫画の得意とするところではないだろうか。

 今日はあまり耳にしない勧善懲悪であるが、いつの世にも受け入れられる倫理であろう。

 スポーツにおける特殊な技で勝利するように、国家の防衛においても隊員の戦略と優秀な兵器で侵略意図を有する国家を懲罰するストーリーを描けないだろうか。

 こうした国家的勧善懲悪のストーリーを若者に人気のある漫画家に依頼して、100ページくらいの『漫画版・日本の防衛』として発刊し、各家庭に一部づつ無料配布してはいかがであろうか。

 憲法9条を中心に据えた戦後教育の中で育った国民に国家の守りや自衛隊のことを理解してもらうのは容易ではない。災害派遣で評価されている自衛隊ではあっても、それは自衛隊の真の姿ではない。

 何度も言うように防衛は国民の理解なくしては成り立たない。

 中でも若者たちの理解が不可欠であるが、義務教育では安全保障や防衛をほとんど教えてこなかった。いや、むしろ自衛隊は憲法違反で、国民を戦争に巻き込む集団みたいに教えるところさえあった。

 そうした誤った認識も漫画に挿入して、郷土を守る手助けをして最終的には日本という国家を守る最後の砦といったストーリーの漫画ならば若者たちも手にして考えてくれるのではないだろうか。