半導体回復でも明るい雰囲気はない

 韓国の景気は良いのか悪いのか?

 半導体市況の回復で、2024年に入って輸出が急回復してきた。サムスン電子は4~6月期に前年同期比15.5倍の10兆4000億ウォン(1円=9ウォン)を超える営業利益を稼ぎ出した。

 半導体と輸出が回復すれば、韓国経済には大きな追い風だ。

 だが、産業界からは「景気が回復してきた」という威勢の良い声は聞こえない。

 サムスン、SKグループなど多くの財閥は、いまも非常経営体制を維持している。役員は週末に出社し、経費削減のためにゴルフや交際費などの管理を厳しくしたままだ。

 サムスン電子の役員は「10兆ウォンも利益が出たからといって成長軌道に戻った、というような明るい雰囲気は社内には全くない」と話す。

 韓国の産業界で半導体に次ぐ期待の星だった電気自動車(EV)向けバッテリー事業が足踏みしてしまった。

 さらに内需が予想以上に弱いのだ。

 財閥系のメーカー役員は「半導体はそれなりに回復しているが、ほかにこれといった成長分野がない。内需も設備投資も弱含みだ」と話す。

 こういう状況だから、利下げ期待が強いのだ。