韓国銀行は政策金利をまたしても凍結した(写真:Lee Jae-Won/アフロ)

 韓国銀行(中央銀行)が政策金利を年3.5%で凍結した。金利を決める金融通貨委員会で13回連続と最長の「凍結記録」を更新した。

 韓銀が動けなかったのは、景気低迷でも止まらないソウルの不動産価格上昇だった。

「内需を盛り上げるという観点で見ると、残念だ」

 2024年8月22日、韓銀の金融通貨委員会が金利凍結を決めると、「大統領室高位関係者」が韓国メディアにこうコメントした。

大統領室が異例の即日コメント

「金利の決定は金融通貨委員会の固有の権限ではあるが・・・」という前置きがついているとはいえ、政府、それも大統領室の幹部が、独立機関である韓銀の金利政策について「残念だ」と否定的なコメントをすることは韓国でも極めて異例だ。

 韓銀の今のトップである李昌鏞(イ・チャンヨン=1960年生)総裁は、韓国では産業界、金融界だけでなく幅広く尊敬を集めるエコノミストだ。

 ソウル大卒後、米ハーバード大大学院で経済学博士号を取得した。米ロチェスター大やソウル大教授を歴任する一方で、ADB(アジア開発銀行)主席エコノミスト、IMF(国際通貨基金)アジア太平洋担当局長などの経験もある。

 2022年4月に退任直前の文在寅(ムン・ジェイン=1953年生)が韓銀総裁に任命したが、党派を超えて「異議なし」の人事だった。

 だから大統領室幹部の発言は「政治的」というわけではない。韓国紙デスクはこう話す。

「金利凍結予測が多かった中であえてこういうコメントを出したのは、次は必ず利下げしてほしいというダメ出しだ」

 今の政府に批判的な大学教授は「景気がさらに冷え込んだときに、韓銀の責任だと言うつもりではないか。いまから責任転嫁しようということだ」と意地悪く分析する。