しかし今年は「二部制」は、3試合だった開幕からの3日間にとどまった。

 1日4試合の日程での「二部制」導入は、1試合目の試合開始時間がさらに早まり、4試合目の試合終了時間が深夜に及ぶ恐れがある。だから導入に二の足を踏んだのだ。

「だったら大会日程をもっと広げて、一日4試合の日をなくして、全日程2試合、3試合にすれば『二部制』の導入ができるんじゃないか?」

 という声も上がりそうだが、それは難しい。夏の甲子園の日程は、これ以上広げることが事実上不可能なのだ。

「酷暑」と「試合時間短縮の要請」と

 阪神甲子園球場は今から100年前の1924年、中等学校優勝野球大会(今の高校野球選手権大会)主催者の朝日新聞社の提案を受けて、阪神電鉄が建設した。いわば「高校野球のための球場」ではある。

 しかしながら、今は、プロ野球の阪神タイガースが本拠地球場にしている。言うまでもなく阪神タイガースは阪神電鉄の子会社だ。

 そもそも、夏の大会の主催者である日本高野連と朝日新聞社は、阪神甲子園球場を無償で使っている。「高校野球のための球場」だから当然と言えば当然だが、今や動員率ではロサンゼルス・ドジャースを抜いて「世界一お客が入る球団」になった阪神タイガースが甲子園を使用する日数がこれ以上減るのは、深刻な「機会損失」になる。

 つまり「夏の甲子園」はこれ以上日程を拡げることは事実上不可能だ。しかし酷暑の中で午後の試合は何としても避けたい。そうした厳しい条件の中で「試合時間の短縮」という必要性が生じた、これが「7回制」の議論の背景にある。