プロ野球の平均試合時間が3時間なのに対して高校野球は2時間だ。投手交代が少ないほか、イニング間の攻守の交代もスピーディだ。

「2時間ゲーム」は、主催者側の意向でもある。これまで審判もチーム、選手に「急ぎなさい」と促してきた。中には「急がせすぎて、選手の考える時間を奪っている」と批判する指導者もいた。

 しかし、酷暑のなかで主催者側の「スピードアップ」を促す姿勢は、変化しつつある。最近の審判は、イニング間で選手に急かすのでなく「十分に水分を補給しなさい」と言うようになった。そして少しでも体調に異変をきたした選手がいたら、審判は声をかけ、ベンチに戻るように促している。今夏は2時間半に及ぶ試合も珍しくない。

 酷暑の中の高校野球で、審判は「スピーディな試合進行」と「選手の健康維持」という相反するミッションを達成するために日々奮闘しているのだ。

選手にかかる身体的負担も軽減

「7回制」のメリットは「9回制」より試合時間が短いだけではない。

 当然のことながら、投手の負担も軽くなる。1イニング15球を投げるとして、9回完投なら135球だが、7回なら105球だ。捕手をはじめ野手の負担も軽くなる。

 実のところ春の甲子園(選抜大会)や、秋、春の各地方の大会では7回戦制にしなければならない切迫性はないが「投手をはじめとする選手の試合の負担軽減」という意味で、導入できない理由もない。

 また、すでに中学以下の各カテゴリーの野球は「7回制」になっている。中にはリトルリーグのように「6回制」の団体もある。そういう意味では「7回制」にすることの障壁はそれほどないように思えるが、現場の声はかなり複雑だ。

 筆者は8月に千葉県や北海道などで高校野球のイベントを取材したが、そこで高校野球の監督に「7回制の是非」について聞いた。そのいくつかを紹介しよう。