おわりに

 諸外国の「宇宙軍」の任務には、「宇宙に対する攻撃および宇宙からの攻撃の抑止」が含まれている。

 ところが、上記した防衛省の宇宙領域(SDA)に関する取り組みには、有事においては敵国衛星を攻撃することが想定されていない。

 筆者は、我が国も宇宙における反撃能力を保有すべきであると考える。

 2022年12月16日、政府は、「国家安全保障戦略」を閣議決定した。

 同戦略の中で、相手から弾道ミサイル等のミサイルによる攻撃がなされた場合、ミサイル防衛網により、飛来するミサイルを防ぎつつ、相手からの更なる武力攻撃を防ぐために、我が国から有効な反撃を相手に加える能力、すなわち反撃能力を保有する必要があるとして「反撃能力」を保有することを明記した。

 宇宙においても、我が国の衛星に飛来する対衛星兵器(ASAT)から衛星を防護しつつ、相手からのさらなる攻撃を防ぐために、相手の衛星に対して有効な反撃を加える能力を保有することは、我が国の重要な衛星そのものに対する攻撃を抑止することになると考える。

 また、筆者は、宇宙における反撃能力を保有することは専守防衛の範囲内にあると考える。