ローソンをパートナーに全国展開

 中島氏は「本日を皮切りに、全国各地で充電インフラサービスを広げていく」と話した。2024年度は、横浜、東京で10カ所以上、また2025年度には首都圏、関西圏、愛知、福岡で全100基以上の設置を目指す。

 一方で、ローソンの竹増貞信社長は「社会のゼロカーボン化に向けて、(コンビニエンスストアという事業の枠組みの中で)できることはなんでもトライしたい」と、充電インフラ用の場所をGOに貸し出すことを決めた背景を語った。

 商用車市場全体を見据えた充電インフラ整備というGOの事業方針について、「一丸となってゼロカーボンに向かう社会に転換する」という視点に共感したという。

 ローソンの配送車両についても今後、EV化を促進させたいと将来に向けた抱負を語った。

 また、来賓として参加した横浜市の山中竹春市長は、欧州連合(EU)と比べて日本は脱炭素社会に向けた転換が遅れていると指摘した。その上で、脱炭素に向けては運輸部門でのCO2削減が喫緊の課題だとし、コンビニエンスストアと充電インフラをかけ合わせる事業の将来性に期待するとコメントした。

 近年、充電インフラについては横浜市など地方自治体や国は、導入の初期費用に対する補助を拡充している。

 国は2023年10月、「充電インフラ整備促進に向けた指針」を公表。その中で、充電器設置目標をそれまでの「2030年までに15万口」から30万口へと倍増させた。これにより、充電器の総数と総出力数を2023年10月時点と比較して10倍に引き上げることを目指す。

 充電器の出力については、今後設置する急速充電では90kW以上で最大150kWの仕様を目指す。現在設置されている各種の急速充電器を含めて、平均出力を現在の40kWから80kWへと倍に引き上げたい考えだ。

 また、充電の課金方法についても、国としては2025年度から充電する電力量に応じた従量課金制へのシフトを進めるとしている。

 今回の、「GO x ローソン」の充電インフラに関する新たなる試みは、国が目指すGX(グリーントランスフォーメーション)の中で、「2035年までに、乗用車新車販売で電動車100%」と並ぶ商用EVの本格普及に向けた呼び水になりそうだ。

桃田 健史(ももた・けんじ)
日米を拠点に世界各国で自動車産業の動向を取材するジャーナリスト。インディ500、NASCARなどのレースにレーサーとしても参戦。ビジネス誌や自動車雑誌での執筆のほか、テレビでレース中継番組の解説なども務める。著書に『エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?』『グーグル、アップルが自動車産業を乗っとる日』など。
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