
「自己中心的」「わがまま」「マイペース」…。そんな血液型B型の人の対する偏見が、経済・社会的に深刻な格差を生み出している可能性が明らかになった。
全国からおよそ4000人を無作為抽出した2005、06年のアンケート調査を分析。その結果、B型男性は他の血液型の人と比べて結婚率が約7%も低く、失業率は倍以上も高かった。さらに、こうした偏見の影響を顕著に受けたと見られる40歳未満(当時)のB型男性の結婚率が著しく低く、平均年収も68万円程度低かった。
分析したのは、(独)経済産業研究所(RIETI)の元研究員で、現在は一橋大学イノベーション研究センター専任講師の小泉秀人氏だ。小泉氏は、課税などの公平性と効率性の最適解を研究する公共経済学を専門とする。その立場から、トランプ米大統領や欧州で台頭する極右政党が拡散させている根拠なき偏見や差別が、長期的に経済・社会に与える深刻な影響を懸念している。
血液型差別の構造を明らかにした今回の研究は、SNSなどで横行する根拠なきレッテル貼り合戦に警鐘を鳴らしたい、との思いがきっかけだった。(JBpress)
B型は「自己中心的」「マイペース」?
——小泉さんがRIETIで発表した論文「B型はモテない?血液型差別から見る差別の構造」の内容は衝撃的です。B型の男性が、他の血液型の男性よりも結婚率が明確に低く、しかも失業率や収入にまで悪影響を及ぼしていることが、データで示されました。
日本人は血液型の話題が好きでA型は「几帳面」「神経質」だとか、O型は「おおらか」とか、AB型は「天才肌」「二重人格」とか、レッテルを貼っては笑いのネタにしてきました。そうした中、比較的酷い扱いを受けてきたのがB型ですが、その悪影響が今回明らかになったわけです。
小泉秀人氏(以下、敬称略):そうなんです。B型は色々と言われてきました。「自己中心的」とか「マイペース」とか、何かとネガティブなイメージが付きまとってきました。
研究結果には私自身、とても驚きました。「えっ、こんなに明確に影響が出ているのか!」と。最初は、「データが間違っているのでは?」とも疑ったほどです。
でも、今回の研究テーマを選んだ動機は、そもそも血液型とは全く関係ないんです。研究のモチベーションは、私が米国にいた頃に抱いた、ある違和感に起因します。
——血液型に対する偏見を解き明かすことが、研究のモチベーションではない、ということですね。どういうことですか?