- ガザ停戦協議で米国の新提案をイスラエルのネタニヤフ首相が受け入れたと報じられ、イスラム組織・ハマスが受け入れるかに注目が集まっている。
- だが、ハマスはイスラエルの都市テルアビブで自爆テロを起こすなど、協議の行方は不透明だ。
- ガザではイスラエルの攻撃により4万人超が殺害され、さらなる被害を及ぼしかねないポリオの蔓延も懸念されている。仮に合意がなされても、ハマス、イスラエル双方の罪はあまりにも重い。
(楠 佳那子:フリー・テレビディレクター)
ブリンケン米国務長官は8月20日、カタールで記者団に対し、ガザ地区での停戦および、イスラエル側の人質解放は「緊急だ」と訴えた。人質と、ガザの人々の生命が日々危険に晒される上地域での緊張が一層高まり、一刻の猶予も許されないとした。
19日には訪問先のイスラエルで、同国ネタニヤフ首相が昨秋来のイスラム組織・ハマスとイスラエル間の紛争における新たな調停案を受け入れたと述べた。ハマスに対しても同様の対応を求めた。
ネタニヤフ首相との会談前、ブリンケン氏はこれが紛争開始から9回目のイスラエル訪問となるとし、今回が双方の停戦合意と和平に至る「決定的な瞬間」であると述べた。また、これがハマスに捕らえられている人質を取り戻し、停戦と永続的な平和をもたらす「恐らく最善の、そしてあるいは最後の機会であるかもしれない」とも話した。
ネタニヤフ首相は会談後X上、米国の理解に謝意を示したものの、調停案受け入れには言及していない。イスラエル首相府はXで、約3時間に及んだ会談が「前向きなもの」であったと発信した。
しかし、18日夜にはイスラエルの商業都市・テルアビブでハマスによる自爆テロが発生した。ハマスの軍事部門と過激派武装組織「イスラム聖戦」がこの攻撃の犯行声明を出している。
両組織は「占領軍による虐殺、民間人の追放や暗殺政策が続く限り」イスラエル国内での「殉教作戦」が続くと宣言した。攻撃は、ブリンケン氏がイスラエルに到着した数時間後に起きた。イスラエル軍も同日ガザ地区に対する攻撃を続けており、双方が実際に停戦合意に至るかが危ぶまれている。
ガザ地区に対するイスラエルの攻撃は執拗に続いている。ここで足もとのガザの惨状をまとめておこう。