極右のイスラエル財務相「ガザ市民200万の餓死は正当」

 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のスポークスマンは、家族や友人を目前で殺害され何度も住居を奪われ、まともな教育や食事、睡眠すら与えられないガザの子供たちに「子供時代など存在しない」と述べている。

画像:UNRWAのスポークスマンのXより

 IDFの言い分としては、ハマスがパレスチナの民間人を人間の盾に学校や病院などに紛れているとしてきた。しかし国際法の専門家はこれまでも、仮にそうした状況でも軍には非戦闘員である民間人保護の責任があると指摘し続けてきた。

 壊滅的な飢餓状態と言われるガザでは、依然として食料危機も続く。医薬品も不足し、衛生環境の悪化も深刻だ。山積する廃棄物が暑さで猛烈な腐臭を放ち、ネズミなども発生。安全な飲み水の確保さえままならないという。

 パレスチナ市民に劣悪な状況を強い続けるネタニヤフ政権だが、8月5日には極右のスモトリッチ財務相が「ガザ市民200万の餓死は正当」という趣旨の発言をし、世界を驚愕させた。「(国際世論のせいで)仕方なく投入している」ガザへの人道支援を阻止し、200万のガザ市民を餓死させることは人質解放までは「正当かつ道徳的」かもしれないのに、と暴言を吐いた。

 スモトリッチ財相はこの数日後にもXで、米国などによる停戦案はハマスへの「降伏取引だ」などと非難し、米政府高官から猛反発されている。

 ガザ市民の餓死を正当化する発言は、イスラエルにとっての欧州の同盟各国からも糾弾された。在イスラエルのドイツ大使や仏英外相らがこの発言に対し「ゾッとする」「恥ずべきだ」などと猛批判。欧州委員会のボレル副委員長は「民間人を故意に飢えさせることは戦争犯罪だ。スモトリッチ氏がそれを主張するのは、不名誉を通り越している」とし、イスラエル政府に対して同氏の発言から距離を置くよう釘を刺した。

画像:欧州委員会ボレル副委員長のXより

 政権の中枢を担う閣僚がこのような発言を公然とすること自体、イスラエル国軍が国際法違反の民間人大量虐殺を行っているとの疑念を晴らしようがないだろう。