岸田首相は定額減税と賃上げの相乗効果を期待しているが…(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

6月も下旬に差し掛かり、毎月の給与が支払われる時期になってきました。今回の6月給与で特筆すべきは「定額減税」です。給与明細には減税額の明記が義務付けられていますから、その金額を目にして「こんなに減税されるの?」「たったこれだけ?」と一喜一憂する人も多そうです。定額減税はデフレ脱却を目指す岸田政権の目玉政策ですが、いったいどんなプラス・マイナスがあるのでしょうか。やさしく解説します。

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減税規模3兆5000億円、「増税メガネ」イメージ払拭?

 今回の定額減税は国民1人当たり4万円を減税するとの内容で、2023年11月に閣議決定された「総合経済対策」に盛り込まれました。減税規模は総額で3兆5000億円程度。これは過去2年の税収増分を国民に還元するとの考えから弾き出された数字です。

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 岸田首相は閣議決定後の会見で、「来年(2024年)夏の段階で、賃上げと所得減税を合わせることで、国民所得の伸びが物価上昇を上回る状態を確実に作りたい」と語りました。物価高が続くなか、勤労者の給与がなかなか増えず、家計の厳しい状況に直面する人は増える一方です。

 経済政策が着実に実を結ばないことから、岸田首相はネット上で「増税メガネ」などと呼ばれ、支持率は低迷。そうした状況を打開するためにも定額減税によって家計を助けるという考えを表明しました。岸田首相はこのとき、「どんなふうに呼ばれても構わない。国民のため、わが国の経済のためにやるべきだと信じることを決断し、実行していく」と表明しています。

「やがて行われる衆院選での集票を狙ったものだ」「効果のほどが明らかでない」といった批判を浴びつつも、定額減税は実施の時期を迎えました。

 では、今回の定額減税はどのような仕組みで行われるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。