3月に日本銀行がマイナス金利政策を解除し、「金利のある世界」に戻って迎える夏のボーナスシーズン。東証プライム市場の上場企業では平均妥結額が初めて80万円台となった。新NISAブームもあり、ボーナスの運用を考えている人も多いだろう。そんな中、ネット専業銀行や地銀のインターネット支店では、金利上昇を先取りした“高金利定期”での集客合戦が過熱している。一方で、今年度の社債発行額は史上最高ペースで推移しているという。リスクを抑えて資産を増やせる確定利付きの金融商品を中心に、夏のボーナスの預け先を探った。
(森田 聡子:フリーライター・編集者)
株や投信などのリスク資産一辺倒は「偏り過ぎ」
民間調査機関の労務行政研究所の調べでは、東証プライム市場に上場する企業114社の2024年の夏季賞与・一時金の平均妥結額は84万6021円に上った。3年連続の増加となり、1970年の調査開始以来、夏季一時金では初めて80万円台に乗せた。
6月分の給与から岸田政権の「定額減税」も適用されている。物価高が続く中、今夏はちょっぴり懐が温かい会社員もいるのではないだろうか。
とはいえ、定額減税は今回限りとなる可能性が大きく、冬以降のボーナスも今後の業績次第。貴重な“臨時収入”はインフレによる目減りを防ぎつつ、大事にキープしておきたいところだ。
そこでお金の運用環境を見ると、昨冬のボーナス時と大きく異なるのは、3月に日本銀行がマイナス金利政策を解除し、市中金利も上昇基調にあるということだ。長期金利の代表的な指標である新発国債10年物の利回りは11年ぶりに1%を超えた。
そうした中、34年ぶりの日経平均株価の高値更新や新NISA(少額投資非課税制度)のスタートもあって、最近になって投資に乗り出した人も少なくない。ただ、ベテランのファイナンシャルプランナー(FP)は次のように話す。
「新NISAによる投資ブームで、若年層を中心に投資に前のめりの人が増えている。しかし、保有資産の8~9割を株式や投資信託などのリスク資産に投じるのはさすがに偏り過ぎだろう」
では、どうすればいいのか?