ドイツの主力戦車「レオパルト2」)(写真:Corona Borealis Studio/Shutterstock)

ウクライナや中東での戦闘が続くなか、世界の株式市場で防衛関連企業の存在感が急速に高まっています。ドイツの主力戦車「レオパルト2」を製造する防衛大手ラインメタルの株価は2023年末から8割以上上昇。スウェーデンのサーブやイタリアのレオナルドなどの株価の上昇率も6割に上っています。なぜ今「防衛株」に多くの投資家が関心を寄せているのか、やさしく解説します。(JBpress)

独ラインメタル株は年初来8割高、売上高は100億ユーロの大台に

 ロシアによるウクライナ侵攻やイスラエルとイスラム組織ハマスの衝突といった中東情勢など世界各地で安全保障上のリスクが高まるなか、株式市場では防衛・宇宙・航空に関連した企業への関心が高まっています。

 ドイツ防衛大手ラインメタルの株価は約530ユーロ(5月24日時点)と、2023年末からの上昇率は85%に上っています。欧州の主要600社の株価指数であるストックス欧州600指数(同9%高)よりも大きく上回り、株価の上昇が目立っています。

 ラインメタルはドイツの主力戦車「レオパルト2」などを製造している企業で、1889年にドイツ帝国への軍需物資の供給を目的に設立されました。現在は主に防衛事業と車両部品事業を手掛け、防衛では戦車や武器、弾薬、制御システムなどの防衛製品を自国やNATO(北大西洋条約機構)加盟国などに供給しています。

 ラインメタルの23年12月期決算では、営業利益が9億1800万ユーロ(1560億円)と前年から19%増え、過去最高を記録。ウクライナにも戦車や弾薬、移動式野戦病院など幅広い軍事製品を提供しているほか、東ヨーロッパなどからの旺盛な需要が利益を押し上げました。

 ラインメタルは新たにウクライナに兵器工場の建設を予定していることも公表。2024年の連結売上高は同社初の100億ユーロ(23年は71億7600万ユーロ)規模に拡大すると想定しています。