インターネット普及に次ぐ社会の変革ドライバーとして期待がかかる生成AI(人工知能)。米巨大ITを中心に生成AIへの投資も本格化し、普及が急速に進んでいます。世界の株式市場でも生成AIが最も関心の高いテーマの1つとなるなか、生成AIの普及で恩恵を受ける産業はどこか。今回は生成AIの波及で電力需要の拡大が期待される「電力株」について解説します。(JBpress)
「電力株」指数、東日本大震災発生前以来の高値に
生成AIの開発に不可欠な画像処理半導体(GPU)を主力製品とする米半導体大手のエヌビディアが好決算だったほか、米IT大手のグーグルやマイクロソフトなどが相次いで生成AIの普及を本格化させていることを受け、株式市場では生成AIに関連した銘柄への投資が加速しています。
生成AIの活用が進むことで影響を受ける業種の一つが電力です。
東証株価指数TOPIX「電気・ガス業」指数は5月28日、東日本大震災が起きる前の2011年3月以来の高値を記録しました。関西電力や東北電力、北陸電力など国内の大手電力会社の株価(6月3日時点)が軒並み昨年末に比べ5割超上昇。特に九州電力は7割高、北海道電力は2.5倍にもなり、同期間の日経平均株価(16%高)を大きく上回っています。
米国でも、電力小売りや原子力発電を手がけるヴィストラの足元の株価は約93ドル(約1万4300円)と昨年末から2.4倍となり、株式市場でお祭り騒ぎとなっているエヌビディア(同2.3倍)を上回る急騰ぶりを見せています。再生可能エネルギーや原子力発電の米国のコンステレーション・エナジーの株価も23年末比で78%上昇しています。