新NISAが始まり、はや5カ月。この間、日経平均株価は一時4万円を超え史上最高値となったが、その後は足踏みが続く。為替も激しく上下し、資産運用の初心者ほど不安がつのるではないだろうか。さわかみ投信の澤上龍社長が長期投資の視点に立って、マーケットの変化にも動揺しないための投資のイロハを解説する。
(*)本稿は『50歳から成功する長期投資 65歳でプラス3000万円』(澤上龍著、幻冬舎)の一部を抜粋・再編集したものです。
【連載】
①投資信託会社の社長が「投資はしなくてもいい」という理由、問題はお金をどこに「置いておく」か
②私たちは銀行にお金を「貸している」、簡単には破綻しないし預金1000万円までは守られるという安全神話は危うい
③詐欺まがい?「ドルコスト平均法」の甘い勧誘には要注意、大切なのは暴落しても再び上がるまで待てること
④信用してはいけない「複利効果」、株式投資で一定の利益が出続けることはあり得ない
⑤500万円を2倍にするには?「72の法則」「126の法則」で毎月のつみたて額をシミュレーション
まずは基本の「72の法則」
これから投資を始める皆さんとしては、「じゃあ、どれくらいつみたてればよい?」と思われるでしょう。
しつこく言いますが目標は人それぞれですから、一つの例として参考にしてください。
50歳のサワカミさんが65歳の時に3000万円欲しいと設定しましょう。これまで30年間働いてきたサワカミさんは、投資できる預金が500万円くらいあります。この500万円と、これから15年は働くという前提でシミュレーションしてみましょう。
投資の世界には「72の法則」と「126の法則」というものがあります。
「72の法則」は、投資した元本を複利運用で2倍にするためにはどれだけの金利と年数が必要かを計算する方法です。数式は「72÷利回り=期間(年)」「72÷期間(年)=利回り」。
利回りは毎年何パーセントの運用リターンが出るかということです。もし年利回り5パーセントの商品に出会えたとしたら、期間はどのくらいになるか?
「72÷5=14.4」となります。
つまり5パーセントの利回りとすると、サワカミさんの元本500万円を2倍の1000万円にするには14.4年かかることになります。「72の法則」を使って、逆に「500万円を15年後に1000万円にするには、何パーセントの利回りで運用すればよいか」と考えると、「72÷15=4.8」となって、4.8パーセントの利回りで運用すればよいことになります。