(写真:Thapana_Studio/Shutterstock)

新NISAが始まり、はや5カ月。この間、日経平均株価は一時4万円を超え史上最高値となったが、その後は足踏みが続く。為替も激しく上下し、資産運用の初心者ほど不安がつのるではないだろうか。さわかみ投信の澤上龍社長が長期投資の視点に立って、マーケットの変化にも動揺しないための投資のイロハを解説する。

(*)本稿は『50歳から成功する長期投資 65歳でプラス3000万円』(澤上龍著、幻冬舎)の一部を抜粋・再編集したものです。

【連載】
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まずは基本の「72の法則」

 これから投資を始める皆さんとしては、「じゃあ、どれくらいつみたてればよい?」と思われるでしょう。

 しつこく言いますが目標は人それぞれですから、一つの例として参考にしてください。

 50歳のサワカミさんが65歳の時に3000万円欲しいと設定しましょう。これまで30年間働いてきたサワカミさんは、投資できる預金が500万円くらいあります。この500万円と、これから15年は働くという前提でシミュレーションしてみましょう。

 投資の世界には「72の法則」と「126の法則」というものがあります。

「72の法則」は、投資した元本を複利運用で2倍にするためにはどれだけの金利と年数が必要かを計算する方法です。数式は「72÷利回り=期間(年)」「72÷期間(年)=利回り」。

50歳から成功する長期投資 65歳でプラス3000万円』(澤上龍著、幻冬車)

【著者】
澤上 龍(さわかみ・りょう)
1975年千葉県生まれ。2000年5月にさわかみ投信株式会社に入社後、ファンドマネージャー、取締役などを経て2012年に離職。2010年に株式会社ソーシャルキャピタル・プロダクションを創業、2012年に関連会社の経営再建を実行し、2013年にさわかみ投信株式会社に復職、同年1月に代表取締役社長に就任。現在は、「長期投資とは未来づくりに参加すること」を信念に、その概念を世の中に根付かせるべく全国を奔走中。起業や経営の支援の傍らコラム執筆や講演活動も行う。

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 利回りは毎年何パーセントの運用リターンが出るかということです。もし年利回り5パーセントの商品に出会えたとしたら、期間はどのくらいになるか?

「72÷5=14.4」となります。

 つまり5パーセントの利回りとすると、サワカミさんの元本500万円を2倍の1000万円にするには14.4年かかることになります。「72の法則」を使って、逆に「500万円を15年後に1000万円にするには、何パーセントの利回りで運用すればよいか」と考えると、「72÷15=4.8」となって、4.8パーセントの利回りで運用すればよいことになります。