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新NISAが始まり、はや5カ月。この間、日経平均株価は一時4万円を超え史上最高値となったが、その後は足踏みが続く。為替も激しく上下し、資産運用の初心者ほど不安がつのるではないだろうか。さわかみ投信の澤上龍社長が長期投資の視点に立って、マーケットの変化にも動揺しないための投資のイロハを解説する。
(*)本稿は『50歳から成功する長期投資 65歳でプラス3000万円』(澤上龍著、幻冬舎)の一部を抜粋・再編集したものです。
【連載】
①投資信託会社の社長が「投資はしなくてもいい」という理由、問題はお金をどこに「置いておく」か
②私たちは銀行にお金を「貸している」、簡単には破綻しないし預金1000万円までは守られるという安全神話は危うい
③詐欺まがい?「ドルコスト平均法」の甘い勧誘には要注意、大切なのは暴落しても再び上がるまで待てること
④信用してはいけない「複利効果」、株式投資で一定の利益が出続けることはあり得ない
⑤500万円を2倍にするには?「72の法則」「126の法則」で毎月のつみたて額をシミュレーション
まず「預金」という言葉が間違っています。皆さん、この言葉のおかげで銀行にお金を「預けて」いると勘違いしていますが、実はお金を「貸している」のです。
銀行は公的な機関ではなく、あくまでも民間の法人です。皆さんから「借りた」お金をさらに貸すことで利益を得ています。企業への融資、個人向けには住宅ローンや国債を扱うこともあります。では銀行は、お金を貸している相手が払えなくなったらどうなるかを考えたことはあるでしょうか。
銀行からお金を借りている企業が破綻(はたん)すれば、銀行は融資を回収することができません。1990年代前半に、バブルがはじけた後の銀行は、約100兆円もの不良債権を処理する事態に追い込まれました。これと同じことが今後も起こる可能性は十分あるのです。
もっと言えば、今やネット銀行、ネット決済が当たり前になり、既存の銀行の経営も盤石(ばんじゃく)ではありません。以前は街なかに当たり前にあった有人の支店が、どんどん閉められているのを目にしていると思います。
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【著者】
澤上 龍(さわかみ・りょう)
1975年千葉県生まれ。2000年5月にさわかみ投信株式会社に入社後、ファンドマネージャー、取締役などを経て2012年に離職。2010年に株式会社ソーシャルキャピタル・プロダクションを創業、2012年に関連会社の経営再建を実行し、2013年にさわかみ投信株式会社に復職、同年1月に代表取締役社長に就任。現在は、「長期投資とは未来づくりに参加すること」を信念に、その概念を世の中に根付かせるべく全国を奔走中。起業や経営の支援の傍らコラム執筆や講演活動も行う。
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LINEやPayPay といったアプリでも、簡単に送金ができる時代。さらに銀行経営は厳しくなっていくと予想できます。
とはいえ、「ペイオフで1000万円までの普通預金は守られるはずでは」と言う人もいるでしょう。しかしペイオフ制度も盤石ではないのです。日本人の預貯金総額は1000兆円を超えています。ペイオフというのは、銀行が破綻した場合、預金保険機構から預金者に支払われる制度ですが、その原資金はわずか5兆円にすぎません。
もし多くの銀行が次々と破綻したら……。5兆円ではまったく足りないのです。「でも、そんなに簡単に銀行は破綻しないはず」という思い込みがあるのではないでしょうか。それは銀行の安全神話にすぎません。