相場の変動に動じず長期投資を続けるには(写真:Keisuke_N/Shutterstock)

新NISAが始まり、はや5カ月。この間、日経平均株価は一時4万円を超え史上最高値となったが、その後は足踏みが続く。為替も激しく上下し、資産運用の初心者ほど不安がつのるではないだろうか。さわかみ投信の澤上龍社長が長期投資の視点に立って、マーケットの変化にも動揺しないための投資のイロハを解説する。

(*)本稿は『50歳から成功する長期投資 65歳でプラス3000万円』(澤上龍著、幻冬舎)の一部を抜粋・再編集したものです。

【連載】
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 私は投資信託会社の代表なのに、よくこう言います。

「投資はしなくてもいいんです」

 この言葉を聞くと、驚く人もいます。

 けれど本当に「しなくてもいい」と私は思っています。

 たとえば、「いずれは地方で農業をしながら暮らしたい」という人がいたとします。そういう人にとって投資は必要でしょうか。以前、鹿児島県を訪れた時、その地域の人々を見て「いい顔をしているなあ」と感じたのを覚えています。自然に囲まれ、野菜などを作り、食べることに基本的に困らないからだろうかと考えました。

 そういう環境で暮らしているのならばお金はそんなになくてもいい。投資のことを考えるよりも、野菜の品種や効率的な栽培法などを勉強したほうがいいと思います。

50歳から成功する長期投資 65歳でプラス3000万円』(澤上龍著、幻冬舎)

【著者】
澤上 龍(さわかみ・りょう)
1975年千葉県生まれ。2000年5月にさわかみ投信株式会社に入社後、ファンドマネージャー、取締役などを経て2012年に離職。2010年に株式会社ソーシャルキャピタル・プロダクションを創業、2012年に関連会社の経営再建を実行し、2013年にさわかみ投信株式会社に復職、同年1月に代表取締役社長に就任。現在は、「長期投資とは未来づくりに参加すること」を信念に、その概念を世の中に根付かせるべく全国を奔走中。起業や経営の支援の傍らコラム執筆や講演活動も行う。

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 ただ、自分はこれからどう生きたいのか、何をしたいのかを考えた時、たいていの人は「いくらくらいは必要だ」となるのではないでしょうか。

 また、資産がまったくないなら考えることもないのですが、いくらかでもお金を持っているのなら、「そのお金をどこに置くのですか?」という問題があります。皆さんは、どこに置いているのでしょうか?