ChatGPTの電力消費はGoogle検索の10倍

「電力株」が上昇している背景に、生成AIによる電力需要拡大への期待があります。生成AIの利用が広がることを見込み、大量の情報処理の基盤となるデータセンターの建設が相次いでいます。膨大な電力を消費するデータセンターが増えることで、電力需要の拡大が見込まれているのです。

 国際エネルギー機関(IEA)によると、米Open AIの生成AI「ChatGPT」が質問に1回回答する場合の消費電力量は2.9ワット時で、「Google検索」の検索1回あたりの消費電力量のおよそ10倍に相当すると言われています。

 生成AIの利用拡大を背景に、世界のデータセンターの電力消費量は26年に22年から2.2倍の1000テラ(テラは1兆)ワット時に拡大すると予測されています。これは日本の年間電力消費量に匹敵します。

 国内では人口減少や省エネの浸透で電力消費量は右肩下がりでしたが、国内の電力需給を調整する電力広域的運営推進機関(OCCTO)は24年度を境に上昇に転じると予測。33年度には8345億キロワット時と23年度(推定実績)より4%程度多くなると想定しています。

 OCCTOは「人口減少や節電・省エネなどの減少影響よりも経済成長やデータセンター・半導体工場の新増設が続くため」と分析しています。

 特に株価の上昇が目立つ北海道電力の管内ではラピダスによる次世代半導体の製造工場の稼働が計画されています。北電に次いで株価の上昇が目立つ九州電力も熊本県で建設が予定される半導体の受託製造世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)や、ソニーグループの半導体工場などを抱えています。

 半導体関連企業の進出に伴う電力需要の拡大も株価を押し上げる一因です。