韓国の電力設備大手は株価3倍
電力需要拡大が想定されることを受け、投資家の物色は送電線や電力周辺機器などにも波及しています。
高圧電力設備などを製造する韓国のLSエレクトリックは今年に入り株価が3倍に跳ね上がりました。韓国の証券市場でも生成AI普及による電力需要増加が追い風となっていると分析されています。5月下旬には釜山工場の生産能力を2倍以上に拡大すると公表するなど、グローバル市場での供給体制を強化していく方針です。
送電線世界大手のイタリアのプリズミアンの株価も 昨年末から5割近く上昇。4月には米国のケーブル大手の買収を公表。再生可能エネルギーへの移行に伴い発電設備が分散するなか、送電線の需要が各地で高まっています。
日本でも電力ケーブルなどのインフラを手がける古河電気工業の株価は23年末から8割超上昇。住友電気工業は5月下旬に上場来高値(2677円)を付けたほか、フジクラも5月下旬に上場来高値(3456円)を更新しました。
電力株は景気動向に左右されないディフェンシブ株とされてきましたが、東日本大震災での原発事故を受けて日本では株式市場における存在感が薄れていました。ただ足元の生成AIブームを受けてIT企業の動向が電力株に波及しており、今後もグロース株に投資する投資家などからの関心も続きそうです。
【主な参考資料】
株価指数リアルタイムグラフ - TOPIX-17 電力・ガス(日本取引所グループ)
World Energy Outlook 2023(IEA)
2024年度 全国及び供給区域ごとの需要想定について(電力広域的運営推進機関)