ドイツ防衛費、冷戦終結後初のGDP比2%に

「防衛株」の上昇が目立つ背景には、各国の防衛力の強化があります。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると23年の世界の軍事費は2兆4430億ドル(約380兆円)と過去最高を記録。前年からの上昇率は約7%と2009年以来前年比で最も急激な増加だったいい、特に欧州、アジア、オセアニア、中東の増加が大きかったと分析しています。

 ドイツは24年2月、防衛費を国内総生産(GDP)比で2%とするNATOの目標を、冷戦終結後の1990年代初頭以降で初めて達成したと公表しました。24年度の予算として718億ユーロ(約12兆円)を計上しています。戦争の経験から平和主義が根強く防衛費増額に慎重だったドイツにとって安全保障上の大きな転換となります。

 世界の軍事費の4割程度を占める米国のトランプ前大統領は、「欧州のNATO加盟国が防衛費をさらに負担しない限り、米国はロシアによる将来の攻撃からNATO加盟国を防衛しない」などの発言を繰り返しています。ロシアによるウクライナ侵攻の長期化で安全保障上の脅威が高まる中、欧州では米国に依存しない軍事力の強化に迫られています。

 イギリスも24年4月、2030年までに防衛費をGDP比で2.5%に高めると明らかにしました。イギリス政府は同国のBAEシステムズやロールス・ロイスといった防衛産業の生産能力の増強に投資していく方針です。フランスも防衛費の予算を2024年〜30年に19〜25年比で3割以上増やす計画を掲げています。

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 一方、NATOのGDP比2%以上目標において、達成した国は全体の3分の1程度と見られています。イギリスのスナク首相といった2%達成国のトップなどはNATOに加盟する他の欧州各国に防衛費の積み増しを呼びかけており、防衛費の増額トレンドは今後も続くと見られます。