防衛省、スタートアップの参入促進へ

 日本においても、24年度の防衛関連予算は8.9兆円とGDP比で1.6%(22年度のGDPが基準)となり前年度から0.2ポイント上昇。さらに政府は27年度に防衛関連予算をGDP比2%にする方針で、ウクライナや中東情勢のほか、中国や北朝鮮など東アジアの不安定な情勢を背景に防衛費の増額はやむを得ない状況となっています。

 日本では防衛生産基盤強化法が23年10月に施行されています。防衛装備品の安定した開発や生産のためにサプライヤー企業も含めて国が支援するほか、事業の継続などが困難になった場合にも国が工場などを取得し、事業者に管理を委託できるようになります。国をあげて防衛産業の強化に乗り出しています。

 日本の防衛株の代表格である三菱重工業や川崎重工業の株価は23年末からそれぞれ6割、9割以上高くなっています。防衛省向けの受注が堅調なことなども株価の押し上げに影響していると見られます。

 大手だけでなく、防衛省などは23年6月から「防衛産業へのスタートアップ活用に向けた合同推進会」などを開き、無人機や宇宙関連などの優れた技術を持つスタートアップの防衛産業への参入を促しているほか、ベンチャーキャピタル(VC)などへも防衛分野の投資を呼びかけています。国内でも防衛産業の裾野が広がる可能性があり、株式市場での「防衛株」への関心はさらに高まる可能性があります。

【主な参考資料】
RHEINMETALL(ラインメタル)のホームページ
SAAB(サーブ)のホームページ
Global military spending surges amid war, rising tensions and insecurity(SIPRI)
VanEck launches new ETF for the defense sector(VanEck)

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