時代に即した価値観を備えるZ世代の育成法

 では、Z世代はいまの時代に即した価値観をすでに備えているのだから、育成など不要かというとそんなはずはありません。価値観が時代に合っているだけで成果が出せる仕事などないことを長年会社組織の中で揉まれ続けてきたミドル層は身をもって知っています。

 まだ実績がなくこれから成果を出していかなければならない新卒社員は、成果から逆算して最適な手段を導き出してやりきるプロセスを仕事実務に揉まれながら習得しなければなりません。

 そして、成果を出すために仕事をスムーズに進められるよう、基本的な礼儀作法の習得も必要です。会社というコミュニティでの振る舞い、ビジネス会話の型や顧客への接し方、お詫びの仕方など、新卒社員が身につけておかなければならない所作はたくさんあります。

Z世代の価値観を尊重して「攻めの成果」が出せる人材育成をしなければならない(写真はイメージ)

 ただ、かつての社員教育は育成する側の価値観を刷り込むことで、まず自分たちの土俵に引き入れました。しかし、時代に即した価値観を備えるZ世代をミドル層の土俵に引き入れて育成するわけにはいきません。

 ミドル層に求められるのは、自分たちの土俵で絶対的な上下関係を築く支配者的スタンスではなく、Z世代の価値観を尊重し、その土俵で成果が出せるよう伴走する「支援者的スタンス」での育成なのではないでしょうか。

【参考資料】
「Z 世代(26 歳以下)の就業意識や転職動向」(リクルート)
「全国の就業者10万人を対象とした「はたらく定点調査」に見るZ世代の就労意識」(パーソル)
「イマドキ新入社員の仕事に対する意識調査2022(後編)Z世代の育成のポイント」(JMAM)

【川上 敬太郎(かわかみ・けいたろう)】
ワークスタイル研究家。男女の双子を含む、2男2女の父で兼業主夫。1973年三重県津市出身。愛知大学文学部卒業後、大手人材サービス企業の事業責任者を経て転職。業界専門誌『月刊人材ビジネス』営業推進部部長 兼 編集委員、広報・マーケティング・経営企画・人事部門等の役員・管理職、調査機関『しゅふJOB総合研究所』所長、厚生労働省委託事業検討会委員等を務める。雇用労働分野に20年以上携わり、仕事と家庭の両立を希望する“働く主婦・主夫層”の声のべ40000人以上を調査・分析したレポートは200本を超える。NHK「あさイチ」、テレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」等メディアへの出演、寄稿、コメント多数。現在は、『人材サービスの公益的発展を考える会』主宰、『ヒトラボ』編集長、しゅふJOB総研 研究顧問、すばる審査評価機構株式会社 非常勤監査役、JCAST会社ウォッチ解説者の他、執筆、講演、広報ブランディングアドバイザリー等の活動に従事。日本労務学会員。