(川上 敬太郎:ワークスタイル研究家)
「2024年問題」になぜか他人事の“2019年組”
やや風化しつつある感さえあった“働き方改革”という言葉。しかし、再び目にする機会が増えました。
働き方改革関連法が施行された2019年から5年。猶予期間が設けられていた一部業種・職種にもいよいよ残業上限が適用されることとなり、それが原因で予測されるさまざまな問題、いわゆる「2024年問題」が取り沙汰されるようになったためです。
働き方改革関連法の施行と同時に対象となったほとんどの業種・職種“2019年組”に対し、トラックやバスなどのドライバー、建設業、医師といった“2024年組”に5年の猶予が設けられた背景について、厚生労働省のホームページには長時間労働の背景に、「業務の特性や取引慣行の課題がある」と理由が記されています。
そして、今年4月の施行が近づくにつれ、何とかして「2024年問題」を解決しようとする動きが活発化してきました。
厚生労働省および国土交通省は、2023年6月に俳優の小芝風花さんを起用したPR動画『はたらきかたススメ』を公開し、長時間労働の解消や労働環境の改善を広く呼びかける活動を開始しています。
ほかにも都道府県の労働局が関連する企業を訪問したり、業界団体が啓発活動を行ったり、運送会社が女性トラックドライバーの採用に力を入れたり、といった動きも見られます。
それら「2024年問題」をめぐる一連の動きを、すでに働き方改革から5年を経た2019年組は「大変そうだなあ」と対岸の火事のように眺めているかもしれません。しかし、本当に「2024年問題」は2019年組にとって他人事なのでしょうか。