Z世代の新入社員に共通する「3つの価値観」

 これまでさまざまな研究機関がZ世代の特徴を分析しています。リクルートが公表した調査『Z 世代(26 歳以下)の就業意識や転職動向』によると、Z世代には以下のような特徴が見られます。

・どこの会社でも通用するような汎用的な能力を磨く
・終身雇用型組織の特徴を希望する傾向は低下
・ゼネラリストとしてのキャリア構築を求める傾向
・新しいことにチャレンジできる環境を求める
・プライベートも重視できる環境を求める

 また、パーソルホールディングスは、自社が行った「はたらく定点調査」をもとにして『Z世代の就労意識』を分析しています。ベビーブーマー(同調査では、58歳~69歳)、X世代(42歳~57歳)、Y世代(27歳~41歳)との比較の中で見られるZ世代の特徴は以下です。

・いずれ転職したいと答えた割合が最も多く6割近い
・いずれ起業したいと答えた割合は最も多いが3割未満
・働くうえで休暇の取りやすさを重視する割合は2番目に低い
・趣味や誕生日など、個人的な目的で休暇を取得する割合が多い
・個人の権利や多様性の尊重に関するハラスメントに敏感

 日本能率協会マネジメントセンターは、例年実施している「イマドキ新入社員の仕事に対する意識調査2022」をもとに『Z世代の育成のポイント』をまとめています。Z世代の中で仕事や職場への満足度が高い人の特徴として挙げられているのは、以下2点です。

・多くの支援者を獲得し、今後のキャリアの見通しを立てている
・自己効力感・自己肯定感が高く、挑戦にも積極的

 これらの分析には違いも見られ、また当然ながら生まれた年代だけで完全に括れるものではなく個人差があるものの、Z世代の価値観としておおむね共通する傾向として大きく3つのポイントが見えてきます。

(1)転職も視野に入れた自律的キャリア観
(2)個々の違いを認めて尊重するスタンス
(3)新しい可能性へのチャレンジに積極的

 一方、上記3つのポイントにそれぞれ対比させて真逆の言葉に変換してみると、以下のようになります。

(1)定年まで一社前提の他律的キャリア観
(2)同調圧力が強く画一性を求めるスタンス
(3)あらかじめ敷かれたレールの上を歩き保守的

 これらは終身雇用や個人の都合より会社の都合を優先する風土、年功序列など、多くのミドル層が社会に出てから刷り込まれてきた昭和世代の価値観と重なります。Z世代と昭和世代とでは、価値観が真逆だといっても過言ではないのかもしれません。