木造住宅が密集する東京・墨田区(写真:Natsuki Sakai/アフロ

 10万人以上の犠牲者を出した関東大震災から今年でちょうど100年になる。9月1日の「防災の日」を前に、1400万人の人口を抱える首都東京と1億2000万人の日本全体の被害想定をベースに巨大地震のリスクについて検証してみたい。いつ襲ってくるかもしれない天災に備えるためにも最悪の事態を想定しておきたい。(JBpress編集部)

「東京直撃」の可能性が高い巨大地震の種類と被害規模

 東京都防災会議が2022年5月に「東京都の新たな被害想定 首都直下地震等による東京の被害想定」を公表している。それによると、M(マグニチュード)7クラスの首都直下地震の発生確率は今後30年間で70%とされ、次の5タイプが想定されている。

(1)都心南部直下地震
(2)多摩東部直下地震
(3)都心東部直下地震
(4)都心西部直下地震
(5)多摩西部直下地震

 さらに、発生確率は0.5~2%と低いが立川断層帯地震も想定されている。これらは東京都、千葉県、埼玉県、茨城県、神奈川県、山梨県を含む南関東地域のいずれか、または複数の地域を震源とするM7クラスの巨大地震で、内陸部の比較的浅いところを震源として発生する。

 このほか、海のプレートが海溝で沈み込むときに陸地のプレートの端が巻き込まれ、巻き込まれた陸のプレートがやがて反発して跳ね上がることで発生するM8~9クラスの海溝型地震として次の2つが挙げられている。

●大正関東地震/発生確率0~6%
●南海トラフ巨大地震/発生確率70~80%

 首都を襲う地震はさまざまなパターンがあるということだ。

 このうち東京都内において最大規模の被害が想定されるのが、都心南部直下地震だ。震度6強以上の範囲が区部の6割に広がり、建物被害は19.4万棟、死者6148人、負傷者9万3435人と想定されている。避難者は299万人、帰宅困難者は453万人に及ぶ(冬の夕方風速8m/sの想定)。

 津波の被害が大きかった東日本大震災の犠牲者数・行方不明者数(震災関連死を含む)は約2万2000人とされている。それに比べると、都心南部直下地震は津波被害がないので、死者の想定数は東日本大震災の3分の1以下となっている。

 ただし、コンサートや集会、競技会など大きなイベントが開催されているタイミングで大地震が発生したら、逃げ惑う人々が将棋倒しになったりするなど人的被害はさらに拡大することも予想される。台風による強風などで火災が拡大する可能性もある。被害想定はあくまでも目安だということである。