ライフラインは地震後1カ月以上も寸断される
地震発生直後の身の回りの状況はどうなるのだろうか。マグニチュード7.3の大地震が冬の18時に発生したという想定での被害の様相がまとめられている。被災者を取り巻く状況を段階別に検証しよう。
【発生直後】
長周期振動により、家屋内の固定されていない本棚が転倒したり、家具、ピアノなどが大きく移動し、窓ガラスが飛散したりするなどの危険がある。マンションのエレベーターは停止し、ライフラインは軒並み寸断される。広範囲で停電→計画停電、断水、集合住宅のトイレが利用不能になる。ガスは震度5以上で自動遮断する。
通信も壊滅的な打撃を受ける。音声通信やパケット通信の利用に支障をきたし、携帯基地局の電源枯渇で不通エリアが拡大する。メール、SNSは大幅な遅配となる。
交通インフラもアウトだ。点検や被災等で都内の鉄道は運行停止となり、新幹線も止まる。道路寸断や交通規制、大渋滞でバスなどの代替交通手段による移動も困難に。高速道や主要一般道は交通規制で一般車の通行は大きく制限される。
ガソリンスタンドは当面、給油不能か長蛇の列となる。その結果、流通網が寸断され、食料品をはじめ生活必需品の輸送が困難となり、スーパーやコンビニの在庫が底をついてしまう。
【3日後から1カ月後まで】
停電は減少していくが、計画停電が継続する可能性がある。断水の復旧は限定的。一部地域では下水利用が困難な状況が続く。排水管等の修理が済むまで集合住宅では、水道供給が再開してもトイレの利用ができない。ガスは一部利用者への供給停止が継続する。
鉄道の早期復旧も困難で、橋脚などの大規模被害や車両脱線等が発生した場合は復旧まで1カ月以上かかる可能性も。高速道路などは交通規制が続き、通行可能な道路は慢性的な渋滞が継続する。学校は休校が続くだろうし、多くの商業施設や娯楽施設は閉鎖。都心の繁華街は計画停電で照明が消えた薄暗い街になってしまう。
地震発生前に当たり前だと思っていた日常生活が完全に遠のいてしまい、運よく人的被害を免れたとしても、不自由な暮らしが1カ月以上も続き、さらに長期化することも覚悟しなければならない。