日本の中枢機能がマヒするとどうなるのか?

 被災直後のさまざまなシチュエーションにおける被害想定を、東京都の資料をベースに他の要素も加味しながら検証してみたが、どんな状況であれ事態収拾、復旧の長期化は覚悟しなければならない。

 都の資料では触れられていないが、深刻なのは直接的な震災被害だけでなく、首都機能がマヒすることによる経済的被害、国際競争力低下といった国力低下である。

 東京には政治・行政・経済の中枢機能が一極集中している。国会議事堂、首相官邸、主要官庁、大企業の本社、外資系企業など首都機能がすべて集積しているのだ。

国会議事堂(写真:つのだよしお/アフロ)

 経済でみると東京都のGDPは109兆円超(2020年度)で日本全体の2割を占めている。そんな首都が大地震で機能低下、マヒといった事態になれば、地震による直接被害以外の被害想定は想像を絶するものになる。

 次回は日本全体を襲う南海トラフ地震の被害想定を踏まえ、大震災後の日本のあり方、方向性について考えてみたい。

【第2回】「『南海トラフ大地震』で日本経済は壊滅的打撃、新たな国づくりを志向する道も」を読む。