他の人のモチベーションを上げることが実は重要

──モチベーションが起こる理由「モチベーター」についても説明されています。「お金が欲しい」「素晴らしい創作活動がしたい」「人を助けたい」「有名になりたい」など、様々なモチベーターが考えられます。「自分にとってモチベーターが何かを把握することが、モチベーション維持にとって大切」と書かれています。

大黒:歩んできた人生に反映されて、それぞれ人々の持つモチベーターは異なります。たしかに「お金をたくさん稼ぎたい」「クリエイティブなことがしたい」「人の注目を集めたい」など、多くの人は同じモチベーターを共有してはいますが、何が大事で何が大事ではないか、という順位はそれぞれ異なり、ある人にとって重要なことが、他の人にとってはどうでもいいこともある。

 自分で自分のモチベーターを正しく把握したいところですが、それは難しいことでもあります。さらに「これが自分のモチベーターだ」と認識することによってモチベーションが逆に下がってしまう場合もある。思わぬ何かに出会いワクワクしているから楽しいのに、そのワクワクを想定してあらためて行動すると、もはや不確実性は減少してしまう。

 では、どうしたらいいのかというと、自分のモチベーションを上げようとするのではなく、人のモチベーションを上げようとして、相手もこちらのモチベーションを上げようとする、そのような刺激を与え合える人間関係を持つと、お互いに高め合うことができるようになります。

 これは「思いやり」と言い換えることもできるかもしれませんが、実は、自分のモチベーションが下がっている時は、自分が人にモチベーションを与えていない時だという場合もあるのです。

 周りにいる人との関係はモチベーションという観点でとても重要です。「この人といるとワクワクできる」という人は、周りにいる人にたくさんモチベーションを与えます。そういう人と一緒に仕事をすると、自分も相手をワクワクさせるアイデアを出したくなる。これは、仕事の内容とは必ずしも関係がありません。

──モチベーションには「外発的モチベーション」と「内発的モチベーション」の2種類があると書かれています。