完全に「短期戦」しか想定していなかったロシア

――ロシア軍の通信は聞くことができるのですか。

ロペス その通り、今でも聞こえます。肯定的なものも、否定的なものも両方です。「ウクライナ人を皆殺しにしろ、犬を皆殺しにしろ」という罵りも聞こえますが、「われわれの司令官はどうしたんだ? どうして食べ物がないんだ? どうして水がないんだ?」という不平も聞こえてきます。

 動画投稿サイトYouTubeで盗聴されたロシア軍の通信を聞くことができます。彼らは食事に不満を持っており、ウソをつかれたと文句を言っています。

 捕虜になったロシア兵が母親に「ママ、僕はウクライナにいるんだ」と話しています。母親は「何を言っているの? 土曜日には(ウクライナから40キロメートルの)露ベルゴロド州の基地まで連れて行ったばかりなのに、ウクライナで何してるの?」と叫んでいます。ロシア兵は「ママ、トラックに乗れって言われたんだ。今は捕虜なんだ」と答えている通信もあります。

――ウクライナに侵攻したロシア兵は携帯電話を使っているため、ウクライナの中継基地を通して会話が筒抜けになっているという話もありますが、本当ですか。

ロペス 本当です。戦争が始まった2月24日、ウクライナ軍はロシア軍の多くの安全な通信手段を破壊しました。ロシア軍はウクライナ軍がそんな芸当をできるとは思っていなかったようです。

 ロシア軍は通信手段として携帯電話を使わざるを得ません。小さな携帯電話を取り出し「司令官、どうしますか」と言わなければならないのです。普通の携帯電話、普通のSIMカードを使ってね。