昨年7月、ウクライナ東部・ルハンシク州の小麦の収穫の様子(写真:TASS/アフロ)

(在ロンドン国際ジャーナリスト・木村正人)

[ロンドン発]世界的な食糧危機が起きようとしている。ロシアが「世界の穀倉地帯」ウクライナの穀物輸出を封じているからだ。ウクライナ支援の意味からも、穀物の輸出ルート確保に協力する動きがヨーロッパに広がりつつある。

 リズ・トラス英外相とリトアニアのガブリエリウス・ランズベルギス外相は両国関係の100周年を記念して5月23日、防衛・安全保障協力を強化する共同宣言に署名した。ロシアの侵略を非難するとともにウクライナ支援を継続することを誓った。トラス氏はまた、中国の経済的ないじめに立ち向かうリトアニアを称賛した。

リトアニア外相「次の収穫のために彼らはその地にいる」

 トラス氏は「世界の侵略者に対するわれわれの団結した姿勢を再確認する」とツイートした。一方、ランズベルギス氏はツイッターで「ウクライナの完全勝利のために支援する必要性について完全に合意した。ロシアの(ウクライナ南西部)オデーサ海上封鎖による食糧危機やバルト海の前方防衛などについても言及した」とまで踏み込んだ。

(参考)https://twitter.com/trussliz/status/1528800695125966849

 ランズベルギス氏は「ロシアのオデーサ海上封鎖は解除できるし、解除しなければならない。ウクライナは世界に食糧を供給することを認められるべきだ。食糧危機は回避できる」と強調し、「手遅れになる前に、ウクライナが世界食糧危機を回避できるよう支援しなければならない」(米紙ザ・ヒル)と題した自分の寄稿のリンクを貼り付けた。

「土地に愛着を持つ高齢のウクライナ人は次の収穫のために土を耕している。これほどウクライナ人の未来への思いを象徴する光景はない。次の収穫のために、彼らはその地にいる。そして、その次の収穫のために」

 ロシア軍の侵攻後も再三にわたってキーウを訪れているランズベルギス氏は寄稿で列車の車窓いっぱいに広がる黒土の畑や芽生えを描写している。