英政府「現時点で軍艦を黒海に配備する計画はない」
英政府報道官は筆者の取材に「ウラジーミル・プーチン露大統領の卑劣な海上封鎖は必要な人々に食糧を届けることを妨げている。われわれはウクライナからの穀物輸出を再開する方法を見つけるため国際的なパートナーと集中的に作業を続ける」と答えた。しかし「現時点でイギリスは軍艦を黒海に配備する計画はない」と釘を刺した。
ボスポラス海峡、マルマラ海、ダーダネルス海峡の通航制度を定めたモントルー条約によると、軍艦は黒海に入る15日前にトルコ政府に通知する必要がある。トルコは黒海が戦場と化すのを避けるため、ロシア軍の侵攻後、北大西洋条約機構(NATO)加盟国の艦艇も、ロシアの黒海艦隊以外の艦艇も黒海内には入れていない。
実際のところ、NATOはロシア軍の対艦攻撃能力を破壊してからでないと黒海には入れない。ロシア軍との直接戦闘、引いては核戦争へのエスカレーションを避けるため、黒海に入る素振りは全く見せていない。
英シンクタンク「英国王立防衛安全保障研究所」(RUSI)のマルコム・チャルマーズ副所長は「飛行禁止区域(ノーフライ・ゾーン)の設定やオデーサ海上封鎖の解除など明確な人道目的のために武力を行使すべきだとの主張があるが、いったん軍事衝突の閾値を超えると、新たな閾値をどこに設定すべきかについて相互理解に達するのは困難だ」と指摘する。