ウクライナ復興に取り組むアレクサンドル・シュマトクさん(左、本人提供)

(在ロンドン国際ジャーナリスト・木村正人)

[ロンドン発]ウクライナ・ドニプロ出身でイギリス在住の共同経営者アレクサンドル・シュマトクさん(49)はウクライナの首都キーウ近郊のブチャ市長の要請を受け、ブチャ復興と住民支援に貢献することを目的とした「ブチャ人道復興財団」を設立することになった。シュマトクさんのチームはキーウに6人、西部リビウとボロディミアに各2人の計10人だ。

【参考:連載第1回】「平和な国から戦火の祖国へ、後戻りできない道を男たちは歩いていった」https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/70026

「ブチャの生存者は虐殺による身体的・精神的ダメージに苛まれている」

「ロシア軍による虐殺現場となったブチャに入るのはまだ制限されています。ブチャの生存者は虐殺による身体的・精神的ダメージに苛まれています。私たちは薬物療法、治療、栄養失調問題への対処、有能な医師の派遣、医療施設の再建など、ブチャの医療ニーズを支援するために努力しています」とシュマトクさんは言う。

 シュマトクさんはキーウ中心部に事務所、近郊に支援物資を管理する倉庫をつくった。ブチャ市や地域の行政機関と連携して活動している。ジュネーブやニューヨークの高価な事務所にはお金をかけたくない。寄付金をすべてブチャに送れるよう自分で財団を立ち上げた。すでに10戸の仮設住宅を購入し、ロシア軍の攻撃で自宅を失った住民たちに提供している。

 ブチャの住民に人道的・医療的支援、サポート、リハビリを提供し、道路、建物、病院、学校、公園、礼拝所といった公共施設やインフラなどブチャ復興に貢献するのが財団の目的だ。ウクライナ側のボランティアたちが国際NGO(非政府組織)「ヘルシンキ・インスティテュート」と協力してブチャでのロシア軍の戦争犯罪を文書化する作業を進めている。