プロローグ(2022年5月9日)
モスクワ赤の広場軍事パレード
モスクワ赤の広場では2022年5月9日朝10時(日本時間午後4時)、予定通り対独戦勝77周年記念軍事パレードが挙行されました。
軍用機パレードは悪天候のため中止され、軍事パレードの所用時間は計1時間でした。
ロシアは世界最大の国土を持ち、東西10時間の時差があります。
軍事パレードは計28都市で予定されており、最初の軍事パレードはカムチャッカ半島で始まる予定でした。
ところがカムチャッカは悪天候で軍事パレード自体中止となり、最初の軍事パレードはサハリン(旧樺太)の州都ユージノ・サハリンスク(旧豊原)になりました。
筆者は毎年、この軍事パレードをロシアのTVがネット放映する実況中継で観ております。
今年もネットで軍事パレード実況中継を観た結果、V.プーチン大統領の近未来が透けて見えてきたように感じました。
本稿では、本日の軍事パレードを分析することにより、プーチン・ロシアの近未来を占ってみたいと思います。
第1部:ロシアの謎
ロシアの謎 ①ロシアではなぜ5月9日が対独戦勝記念日なのか?
欧州では終戦記念日は5月8日ですが、旧ソ連邦諸国では5月9日です。なぜでしょうか?
筆者はサハリンやバクー駐在時、毎年この軍事パレードをTV実況中継で観ており、帰国後もネットで毎年観ております。
毎年この時期になると、露TVではドイツ軍のソ連侵攻バルバロッサ(赤髭)作戦(1941年6月22日)や、ドイツ軍偵察大隊がモスクワ郊外30キロの地点まで迫った時の赤の広場における軍事パレード(同年11月7日)などを放映しておりました。
なお、この軍事パレードに参加した赤軍はそのまま郊外の対独戦に投入されています。
アナウンサーはこの時の情景を「このパレードに参加した軍人はそのまま郊外の戦場に向かい、そのほとんどは帰らぬ人となった」と、悲哀を込めて語っておりました。
欧州では5月8日が欧州大戦終戦記念日ですが、旧ソ連邦諸国では5月9日が戦勝記念日となります。
なぜ、8日が欧州の終戦記念日となり、9日が露(旧ソ連邦諸国)の戦勝記念日になるのかは以下の事情です。