このリポートは筆者個人の予測・仮説にすぎず、筆者が所属する組織の見解を代弁するものではないことを、最初にお断りしておきたいと思います。
ご存じの通りロシアでは12月4日、7政党が政党比例名簿代表制により450議席を争う第6期下院選挙が実施されました。12月6日現在の暫定結果ですが、投票率60.2%(前回63.8%)、政権与党『統一ロシア』の得票率49.5%(前回64.3%)、獲得議席数は238議席(前回315議席)でした。
与党の大敗と大規模な反政府デモ
以下、第2位がロシア共産党92議席(57議席)、第3位は公正ロシア64(38)、第4位がロシア自民党56(40)となりました。政権与党の得票率は半分を割り、77議席喪失。文字通り、“大敗”と言えましょう。
一方、政権与党側の組織的大規模選挙違反も指摘されており、翌5日には各地で反政府デモが発生。デモを鎮圧すべく、首都モスクワには露内務省の国内軍が投入され、大勢の逮捕者が出ました。
本稿ではまず、前回のロシア下院選挙を概観。今回の選挙結果を受け、ウラジーミル・プーチンのロシアは今後どのような方向を志向するのか、大胆に予測したいと思います。
12月4日の下院選挙に参加した政権与党『統一ロシア』の政党比例名簿第1位はドミトリー・メドベージェフ大統領その人です。議席数は合計で450議席(任期5年)。
現在では全議席、政党名簿比例代表制により割り当てられますが、以前(2003年度まで)は半分が小選挙区制、半分が党比例代表制となっていました。
時差が9時間ある国の投票方法
投票時間は朝8時から夜8時まで。露国内では東西9時間の時差があるため(以前は10時間)、最後に投票が終わるカリーニングラード州の夜8時(モスクワ時間夜9時)まで、選挙結果予測などを流してはいけないことになっています。
極東・シベリア地域の選挙結果がウラル以西地域の選挙に影響を与えぬよう、非常に合理的な措置と言えましょう(時差のない我々日本人には参考になります)。
1990年代の下院選挙では得票率に応じ議席が割り当てられたため、小党乱立となった苦い経験より、議席獲得得票率最低5%条項が設けられました。
前回2007年12月2日の下院選挙ではこれがさらに7%に引き上げられ、この7%条項をクリアーした政党は4党のみとなりました(投票率63.7%、統一ロシア得票率64.3%、ロシア共産党11.6%、ロシア自民党8.1%、公正ロシア7.7%)。