油価高騰を享受しているロシア経済ですが、もし油価が下落すれば、プーチン政権はどうなるのでしょうか?
ロシアの政治経済情勢が不安定となって一番困るのは欧州です。欧州にとり、「強いロシア」を標榜するプーチンは(ほどほどに)強くなくては困るのです。弱いプーチンが「強いロシア」を標榜すれば、洒落にもなりません。
では、次期大統領候補のプーチン首相は今回の大敗を受け、来年3月のロシア大統領選挙に勝利すべく、いかなる対策を講じるのでしょうか?
大胆に予測します。もちろん1つの仮説にすぎません。
カザフ、ベラルーシとのユーラシア同盟に活路
プーチンの次なる一手。それは、カザフ、ベラルーシとの経済統合を強力に推進。最終的には、今年10月4日に発表した「ユーラシア同盟」 を目指すでしょう。さらに、この経済統合過程にウクライナも巻き込み、ユーラシア同盟の盟主として、生き残りを模索するのではないでしょうか。
さもなくば、ソ連邦共産党が崩壊したがごとく、「統一ロシア」も分裂して、プーチンは政権基盤を喪失。ロシアは1999年末期のロシアのごとく、「分裂の瀬戸際にある」 状態に陥るかもしれません。
この点を一番心配しているのが、なんと、ロシア自民党です。自民党は既に国民に対し、「統一ロシア」への団結を呼びかけていますので、「統一ロシア」「公正ロシア」「ロシア自民党」の大連立も視野に入れていることでしょう。
弱いプーチン(=不安定なロシア)は、欧州のエネルギー安保にも支障をきたします。EUは対露エネルギー依存度拡大を望んでいませんが、第1次エネルギー供給源としてのロシアは大事な存在です。
ロシアの政治経済情勢が不安定になることにより、ロシアからの石油・ガス供給が不安定化することは、EU諸国の国益に反します。
ロシアと一衣帯水の欧州は米国とは対露ポジションが異なるので、ロシアに対する欧州と米国の関係に微妙なズレが生じることも予見されます。
さて、油価が100ドル前後の高値に張り付いている現在、もし油価が下落すれば、プーチン新政権の運命やいかに?
油価は上下に大きく動く可能性大ゆえ、筆者は、2期12年間のプーチン大統領職は有り得ないと予測します。
ロシアは常に、強い指導者を求めます。さて、プーチンの次は誰になるのでしょうか?