ロシアは芳しくない戦況と経済制裁でかなり追いつめられているのか、長年外務大臣を務めてきたとは思えない大失言がセルゲイ・ラブロフ外相から飛び出した(4月27日撮影、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 ロシアの外務大臣、セルゲイ・ラブロフは外交官として終了しました。

 すでに報道されている通り、ロシア連邦外相として5月1日、イタリアのテレビ・インタビューに答えて、ナチス・ドイツの独裁者アドルフ・ヒトラーの血統に「ユダヤ人の血も入っていた」と発言したのです。

 イスラエルはもとより世界各国から猛烈な非難を浴びています。

 この不用意な発言、外交官としてのラブロフの政治生命はもとより、国連におけるロシアの安全保障理事会、常任理事国からの追放に引き金となりかねない致命的な失言です。

ラブロフは一体何を喋ったのか?

 日本国内では「ロシアのラブロフ外相のヒトラー発言でイスラエルが猛抗議」といった報道がなされています。そもそもラブロフは一体何を言ったのでしょう。

 問題の発言は5月1日日曜日、イタリアのテレビ番組「Zona Bianca」でのインタビューに答えて出てきたものです。

 さっそく実物(https://www.nbcnews.com/video/lavrov-s-comments-about-hitler-and-antisemitism-condemned-by-israel-139084357912)を確認してみましょう。

 このリンクの12秒目あたりからのラブロフの発言を訳してみます。代名詞を補うなど、文責はすべて私。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は主張する。「いったいいかなる<ナチ化>が可能だと(ロシア側は)言うのだろう? 私自身がユダヤ人だというのに」と。

 しかし、私の記憶が正しければ、いや、間違っているかもしれないが、ヒトラーもまたユダヤ系の出自を持っていた。だから(ゼレンスキーの)主張は、およそ意味をなしていない。

 私はかつて、賢明なユダヤ系の人々から聞いたものだ。

「最大の反ユダヤ主義(アンティセミティズム)はユダヤ人自身から出てくる」と。

 ツッコミどころ満載のこの発言ですが、どこが最もマズいのか?

A:ロシアのラブロフ外相はゼレンスキーをヒトラーだと言った云々

 これダメという報道、新聞も含め目にしましたが、いまさら問題になりません。その種の発言はプーチンを含め、とうの昔から耳にタコができており、国際問題にはならない。

B:ナチスの独裁者アドルフ・ヒトラーはユダヤの出自

 これは相当、問題です。またこれを取り上げて「荒唐無稽」と評するものもありましたが、ヒトラーの生前、それもナチスが政権を奪取する以前からからこの種の風説はささやかれ続けていました。とりわけソ連では酷かった。

 しかし、この点に関してはヒトラーの顔を見れば一目瞭然です。

 チョビ髭を生やしていますよね。金色ですか。ヒトラーはアーリア系、ゲルマン民族らしい金髪碧眼でしょうか。カラー写真をリンクしておきましょう(https://gigazine.net/news/20090609_adolf_hitler_colorphoto/)黒褐色です。