韓国の尹錫悦大統領(写真:ロイター/アフロ)

 韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、6月29~30日にかけてスペイン・マドリードで開かれる北大西洋条約機構(NATO)首脳会議への出席することを決めた。NATO首脳会議に韓国大統領が出席するのは初めてで、尹錫悦大統領は欧州首脳との首脳会談だけでなく、日本の岸田文雄首相との初の首脳会談を行う可能性も出てきている。

 尹錫悦大統領は、候補時代から「壊れた日韓関係の復元が韓国外交の緊急課題だ」と主張してきた。自分が大統領になれば、米国-日本-中国-北朝鮮の順で首脳会談を開くとも公言している。実際、大統領就任式のために訪韓した外国貴賓との接見順も、米国-日本-中国の順だった。

「日韓関係修復」に意欲見せる尹錫悦大統領

 候補時代の公約集では、1998年の小渕恵三首相と金大中(キム・デジュン)大統領による「日韓共同宣言」(21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ)の基本精神と趣旨を発展的に継承する対日外交ビジョンを提示した。さらに、日韓首脳間のシャトル外交を復元し、高位級協議チャンネルを稼動させて慰安婦問題、徴用工賠償問題、日本の対韓輸出管理強化問題など、両国の諸懸案の包括的解決を推進するとした。

 大統領に当選した翌3月10日に行われた最初の記者会見でも、こう言って日本との関係改善を強調した。

「韓日関係は過去(にこだわる)より、どうすることが未来に両国の利益になるかを私たちがよく探していくことが重要です。韓日の青年たちと未来世代が目指すべき点に重点を置いて韓日関係を考えます」

 それ以降も、日本との関係改善に関して常に積極的な意志を示してきた。韓国政界からは、尹政権が「大きな枠組みの日韓関係正常化に合意→日韓首脳会談→年内に諸懸案の一括解決」というロードマップを持っているという話も聞こえてくる。