5月21日にソウルでの首脳会談後に共同会見に臨む米国のバイデン大統領と韓国の尹錫悦大統領(写真:ロイター/アフロ)

(武藤 正敏:元在韓国特命全権大使)

 文在寅(ムン・ジェイン)政権時代の韓国は、北朝鮮に極めて軟弱な対応を取り続けた。そのお陰で北朝鮮の核・ミサイル開発は一気に進展してしまい、韓国や日本、そして太平洋の向こう側のアメリカまでが北の脅威にさらされる事態を招いてしまった。

 しかし、だからといって世界中が北朝鮮に厳しい態度で臨んでいるわけではないのが現状だ。

 5月26日に北朝鮮が大陸間弾道弾(ICBM)を発射したことを受けて開かれた国連安全保障理事会では、北朝鮮に対する追加的な制裁決議が、中国・ロシアの拒否権行使により否決されてしまった。安保理が北朝鮮に対する制裁決議を否決するのは初めてのことだった。

 北朝鮮を孤立させたくない中国とロシアが安保理の常任理事国である限り、同じような事態が続く可能性がある。そこで米国は、今後は主要国、特に日米韓が協力して北朝鮮に対応して行かなければならないとの認識を深めている。

北朝鮮による核・ミサイル危機への対応は待ったなし

 北朝鮮は武力を信奉する国だ。その北朝鮮に対する弱腰姿勢は、北朝鮮をいっそう増長させ、強硬にしてきた。このため、日米韓は政策対話を通じて連携し、北朝鮮への制裁を強めるとともに、北朝鮮の挑発に対して軍事力を誇示した対抗措置を取るようになっている。

 日本としてこのような情勢にいかに対応して行くのか。問題となるのが、日本と韓国の関係だ。