森の中で見つかった「集団墓地」から遺体を発掘する係官(13日、筆者撮影)

(在ロンドン国際ジャーナリスト・木村正人)

[キーウ州ブチャ発]6月13日朝、キーウ州ブチャに近い森の中で、ロシア軍の占領下に殺害され、地中に埋められた民間人の遺体が見つかったと地元のキーウ州警察本部から連絡があった。

 ちょうどその日は取材協力者の案内でロシア軍に一時占領されたイルピン、ブチャ、ホストメリを回る予定だったので、遺体発掘現場の合同取材に飛び入りで加わった。

遺体が発見された森にはロシア軍の地雷が

 待ち合わせ場所のキーウ地域精神神経科病院で「遺体が発見された森にはロシア軍の地雷が埋められている。昔の戦争の地雷も残っている恐れがある。車1台が何とか通れるダート道を行くので、帰りはバックで戻らないといけないかもしれない」と説明があった。少し怖気づいたが、ここまで来て引き返すわけにはいかない。

 取材協力者は「行くのは容易ではない。自分はここで待っている」と言ったので、筆者と妻の史子(元日本テレビロンドン支局報道プロデューサー)の2人は日本メディアの厚意で車に同乗させてもらい、現場に向かった。森に入る前にキーウ州警察本部のアンドレイ・ネビトフ本部長が「絶対に脇道にそれないこと。勝手に動き回らないで」と何度も釘を刺した。

このダート道の向こうに集団墓地があった(13日、筆者撮影)

 ウクライナ軍の反撃から逃れるため、森の中に身を隠したロシア軍があちこちに塹壕を掘っていた。筆者と妻は慎重に他の記者の後に続いた。連日、摂氏30度を超す猛暑が続いていたが、その日は涼しかった。森の中で地雷の捜索をしていて、遺体が埋められていることに気づいたという。最初、見つかった遺体は1体だけという話だった。