占領地の子供たちがロシア軍によって強制移送されている

放射状に広がる爆発の跡がクラスター爆弾の特徴だという(13日、筆者撮影)

 イルピン、ブチャ、ホストメリのあちこちでロシア軍が無差別殺傷兵器のクラスター爆弾を使用した痕跡を見かけた。着弾跡から放射状に路面が点々と削られている。攻撃された跡が生々しく残る学校では授業が再開され、子供が母親に手を引かれて登校していた。病院も破壊されていた。鉄道橋は落とされ、集合住宅は無惨なまでに焼けただれていた。

焼けただれた集合住宅(13日、筆者撮影)

 これが戦争犯罪でなかったら何が戦争犯罪になるのだろう。侵略を続けるロシア軍の戦争犯罪を調査するため、国連ウクライナ独立国際調査委員会の3人が6月7日から16日までウクライナに入り、リビウ、キーウ、イルピン、ブチャ、ハルキウ、スームィなどで避難者を含む人権侵害の被害者や目撃者、政府、議会、司法、市民団体、国際機関の関係者と面会。

破壊された集合住宅の1室(13日、筆者撮影)

 同委員会は国連人権理事会から委任された独立機関だ。ロシア軍のウクライナ侵攻に関して人権侵害や国際人道法の違反、関連する犯罪のすべての容疑について調査し、今年10月に国連総会、来年3月に国連人権理事会に報告書を提出する。15日、キーウのウクライナ危機メディアセンターで記者会見したエリック・モーセ議長ら3人は次のように述べた。

15日、キーウで記者会見するエリック・モーセ議長(左)ら(筆者がスクリーンショット)

「ロシア軍の侵攻により膨大な数の市民が国内外への避難を強いられた。市民の財産の破壊、略奪、行方が分からない市民、レイプ、性的虐待について証言が寄せられた。子供たちに対する戦争の影響についても当委員会は重大な関心を抱いている。必要があればロシア軍によって占領地の子供たちが強制移送されていることについてもさらに調査を進める方針だ」