北朝鮮に、「新女帝」の誕生である。
6月11日付朝鮮労働党中央委員会機関紙『労働新聞』は、6月8日から10日まで金正恩(キム・ジョンウン)総書記が招集し、平壌で開かれていた朝鮮労働党中央委員会第8期第5回全員会議拡大会議の「公報」(コミュニケ)を発表した。
その中で、最も目を引いたのが、次のくだりだった。
<党中央委員会政治局候補委員 チョ・チュンリョン同志、パク・スイプ同志、リ・チャンデ同志、チェ・ソンヒ同志、ハン・グアンサン同志>
「公報」に写真入りで紹介された計21人の新幹部の中で、チェ・ソンヒ(崔善姫)同志が紅一点として加わった。さらにその顔写真に付けられた肩書きには、「外務相」と明記されていた。
すなわちチェ・ソンヒ氏は、新たに党中央政治局候補委員に選出されたと同時に、外務大臣にも任命されたのである。
外交官たちよりも偉そうな通訳
チェ・ソンヒ新外相は、1964年に孤児として生まれたが、崔永林(チェ・ヨンリム)首相の養子として育てられた。1976年に、英語と中国語を学ぶため、北京55中学、北京外国語大学付属中学に留学、1980年に帰国した。その後、オーストリアやマルタに留学した。
帰国後の1988年に、外交部(現・外務省)に入部した。90年代には、朝鮮労働党幹部のハン・ヨンクォン氏と結婚した。
彼女が表舞台に登場したのは、北朝鮮の核開発問題を話し合うため、2003年に北京で始まった6者会談(日本・アメリカ・韓国・北朝鮮・中国・ロシア)の北朝鮮代表団に、英語通訳として加わった時だった。