チェ・ソンヒ副大臣は決裂の翌日にハノイで会見を開き、「国務委員長(金正恩)同志がこれからの朝米交渉について、少し意欲を失ったのではないかという印象を受けた」と、大胆な発言をした。この時、横に座っていた李容浩(リ・ヨンホ)外相が引きつった表情を見せたのが印象的だった。
対米外交の二つのライン
北朝鮮側は「ハノイの決裂」について総括したが、中国のある北朝鮮ウォッチャーは私に、こう語った。
「北朝鮮の対米外交は、『表看板』は金英徹(キム・ヨンチョル)統一戦線部長-金赫哲(キム・ヒョクチョル)対米特別代表だったが、『裏看板』は二つのラインがあった。すなわち、金正恩-チェ・ソンヒ副外相というラインと、(金正恩総書記の妹)金与正(キム・ヨジョン)-李容浩外相というラインだ。
『ハノイの決裂』の後、この二つのラインで闘争があり、勝利したのはチェ・ソンヒだった。彼女は4月11日に開かれた最高人民会議で、外務省第一副大臣に昇格。かつ国権の最高行政機関である国務委員会議の委員にも選ばれた。
一方、金与正は党中央政治局員候補を解任された、金英徹部長と金赫哲代表は引退、李容浩外相は国務委員会議委員を解任されてお飾りと化した」