5月30日、訪問先のフィジーで、同国のフランク・バイニマラマ首相兼外相と会談した中国の王毅外相(写真:新華社/アフロ)

 もしかしたら、日本の霞が関も同じかもしれないが、中国の官僚には大別して、4通りのタイプの人がいる。

 第一に、愛国心の塊のような人。このタイプは私の経験だと、地方出身者や若手に多い。ベテランになると、「愛国心を装った官僚」が多くなる。

 第二に、金持ちになりたい人。このタイプは、江沢民時代と胡錦濤時代に多かった。初対面の時は外交官の名刺を出すが、少し親しくなると「〇〇会社顧問」のような名刺を渡される。

「えっ、あなた外交官じゃなかったの?」とこちらは驚くのだが、向こうはすました顔で、「それはそれ、これはこれ」などと答える。「泣く子も黙る」習近平時代になってからは、さすがにあからさまな「ギラギラ外交官」は見当たらなくなったが、「ゆくゆくは民間に天下って稼ぐぞ」と考えている官僚は少なくない。

 第三は、出世が命のタイプ。これは都市、農村出身によらず、貧困層に育った人や、文化大革命で痛めつけられた経験があるような人に多い。「いまに見返してやる」という反骨心を胸に秘めているタイプだ。

 第四は、安定した公務員生活が定年まで送れれば、それでいいという人で、マイホームパパ(ママ)タイプ。お人好しでいい趣味を持っていたりするが、出世はしない。

各国首脳や外相との会談を次々こなす「スーパー外相」も外交分野での国内序列は2番手

 すっかり前置きが長くなってしまったが、何の話かと言えば、王毅(おう・き)国務委員兼外相である。聞けば、王毅外相は、ロシアがウクライナ侵攻を始めた2月24日から5月の末まで、計64回もの各国外相や首脳との会談をこなしてきたという。

 まさに「スーパー外相」だが、いったい何が彼をそこまでパワフルにするのだろう?