コロナ禍になってから、習近平総書記は「蟄居」してしまったが、王毅外相の言動をフォローしていれば、習総書記の意向は大枠で理解できた。「何も足さない、何も引かない」――ウイスキーのCMではないが、王毅外相の言動は、習総書記の意向そのものだ。そうして自己のすべてを捧げる見返りに、不断の出世を求めてきたのである。

 そんな王毅外相が現在、勝負を賭けて臨んでいるのが、太平洋島嶼国8カ国歴訪だ。中国外交部のホームページでは連日、「外相の活躍」を大々的に伝えている。その見出しだけを抜くと、6月1日までで以下の通りだ。

圧巻の外交日程

<5月26日>
・ソロモン群島のオーディ総督代理と会見
・同国のマネレ外相と会談
・同国のソガバレ首相と会見
・中国・ソロモン「安全協力3原則」を発表
・同国の中国大使館同志を慰問

<5月27日>
・中国・ソロモン「8方面重要コンセンサス」を発表
・中国・太平洋島国関係発展への「4つの堅持」を発表
・中国・ソロモン関係は将来さらに美しい前景を迎えると発表
・キリバスのマーマウ大統領兼外相と会見
・同国のトゥアト副大統領と会見

<5月28日>
・「アメリカの世界観、中国観、中米関係観は深刻な偏見がある」との声明発表
・サモアのフィアメ首相兼外相と会談
・同国のトゥイマレアリイファノ国王と会見

<5月29日>
・太平洋島国フォーラムのプーナ事務局長と会見
・ニウエのタンゲランギ首相兼外相とオンライン会談