初霜の時節に、季節外れの雪解け(?)である。何のことかと言えば、日本と中国の関係だ。
11月14日、ペルーAPEC(アジア太平洋経済協力会議)で石破茂首相と習近平国家主席が、初めてとなる日中首脳会談を実現させた。これを受けて、この30日から日本人の中国への「ビザなし渡航」が実現した。
ビザなし渡航解禁、日本は37番目
日本人の中国への「ビザなし渡航」は、コロナ禍の前にも認められてきたが、今回は紆余曲折を経た。外務省関係者が語る。
「昨年来、日本側は再三にわたって、特に日中ビジネスの現場で『ビザなし渡航』は不可欠だと、中国側に申し入れてきた。だが当初、中国側の態度は頑なで、『相互主義の原則に基づき、日本も中国人の「ビザなし渡航」を認めることが条件』の一点張りだった。
昨年末から、中国がヨーロッパの国々の国民の『ビザなし渡航』を認め始めると、『ヨーロッパは入国人数が少ないから例外的措置』と弁明した。だがそのうち、マレーシア、ニュージーランド、オーストラリア、韓国と、アジアの国々の『ビザなし渡航』を、一方的に認め始めたのだ。その頃には、『日本とは2国間関係を鑑(かんが)みて判断する』と言い出した」
実際、昨年12月1日以来の中国政府の「発表順」で言うと、日本は37番目なのだ。具体的には、以下の通りだ。
フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、スペイン、マレーシア、スイス、アイルランド、ハンガリー、オーストリア、ベルギー、ルクセンブルク、ニュージーランド、オーストラリア、ポーランド、ポルトガル、ギリシャ、キプロス、スロベニア、スロバキア、ノルウェー、フィンランド、デンマーク、アイスランド、アンドラ、モナコ、リヒテンシュタイン、韓国、ブルガリア、ルーマニア、クロアチア、モンテネグロ、北マケドニア、マルタ、エストニア、ラトビア、日本。
これを見ると、決して「日中関係の重要性を重視して」などという理由ではないことが分かる。