激変した日本企業の中国市場観

 まず①の売り上げは、「上昇」が27%で、「下降」が44%。依然として売り上げが回復していない企業が多い。

 ②の中国国内の景況感については、「改善」が7%で「悪化」が51%。こちらも悲観的な評価が圧倒的である。

 ③の今年の投資額については、「増やす」16%、「減らす」20%と、一見すると拮抗している。だが「投資しない」24%も含めると、「減らす、投資しない」で46%を占め、やはり悲観的だ。

 ④の今後の中国経済についても、「改善」が11%で、「悪化」が64%。やはり圧倒的に悲観的だ。

 そして⑤では、「中国は最重要市場」と捉える企業が、22%まで減ってしまった。逆に「重要市場ではない」と言い切る企業が、5%も出てきた。

 私が北京で駐在員をしていて、中国日本商会の会員だった2012年(先代の胡錦濤政権末期)までは、どの回答もあり得ないものばかりだ。当時は、①~④の質問に対しては、肯定的な回答が8割~9割。⑤で「中国が最重要市場」と回答する企業も、8割~9割というイメージだ。「重要市場ではない」などという選択肢は、設定自体があり得なかった。

 トランプ次期米大統領は、11月25日、「中国からのほぼすべての輸入品に対して、10%の追加関税をかける」と発表した。2018年から翌年にかけての「米中貿易戦争」の再来である。

 2025年の日本企業の中国ビジネスが、ますますハイリスクになっていくのは確実だ。何より中国経済が回復していかなければ、「カネの切れ目が縁の切れ目」となっていくだろう。