左から、東洋大の梅崎蓮、酒井俊幸監督、石田洸介 写真提供/ナイキジャパン

(スポーツライター:酒井 政人)

出雲11位、全日本13位の舞台裏

「NIKE RUNNING MEDIA CAMP 2024」のスペシャルゲストとして登場した東洋大。今年正月の箱根駅伝は4位に入ったが、今季の学生駅伝は苦戦している。出雲は3年生以下のオーダーで臨み、関東勢最下位の11位。全日本は4年生が復帰するも、13位に終わった。チームはどうなっているのだろうか。まずは酒井俊幸監督が両駅伝の状況を説明した。

「すべての大会でピーキングを持ってくのは厳しいので、出雲は4年生を起用しませんでした。戦略的な部分と、想定以上に故障期間が長くなってしまったのが理由です。全日本は完全な状態ではないですけど4年生を4人起用しました。区間配置も前年と変えたなかで、7区の緒方澪那斗が区間6位、8区の岸本遼太郎が区間7位と悪い流れでもしっかりと走りました。3年生の成長は収穫かなと思います」

 では全日本に出場した梅崎蓮と石田洸介(ともに4年)はどのような状態だったのか。前回アンカーを務めた梅崎は3区で区間7位。1年時に4区で区間賞を獲得している石田は6区で区間21位に沈んだ。

「大きな故障はなかったんですけど、北海道マラソンの前ぐらいから調子が低下していた状態だったんです。ポイント練習で離れてしまうことも多かったんですけど、1週間前くらいから上がってきた感じでした。自分がしっかりとチームの流れを作る走りができれば、後ろの区間の選手の走りも変わったと思うので、自分の力のなさを感じています」(梅崎)

「夏合宿中に故障してしまって、全日本に向けては2週間前に練習復帰した感じだったんです。それでも2年生からタスキをもらって3年生に渡したので、4年生として精神的支柱にならないといけませんでした。良い流れを作る役割もあったので、それを果たせなかったのは悔しいです」(石田)

 出雲と全日本は順位だけみると“惨敗”といえるだろう。しかし、新戦力に経験を積ませることができて、主力選手たちのハートに火がついた。正月決戦に向けて、梅崎と石田は静かに燃えている。