4年生の覚悟

2024年1月3日、第100回箱根駅伝、復路10区、ゴールする東洋大の岸本遼太郎 写真/日刊スポーツ/アフロ

 昨季は全日本で過去ワーストの14位に沈みながら、箱根は4位に急上昇。見事な“ごぼう抜き”を見せたが、今回は前回の経験を生かすことができるのか。酒井監督はこう考えている。

「昨年は全日本に出場しなかった選手は、その期間で箱根に向けた合宿を行い、箱根で活躍してくれました。ただ昨年できたから、今回も4位になれるという甘いものではありません。昨年以上の覚悟を持ってやらないと厳しいと思っています。攻めの調整ではないですけど、練習も思い切ってやっていきたいです」

 そして梅崎は主将として、強い気持ちでチームを引っ張っていく覚悟を持っている。

「昨季は全日本の悔しさがあったので、しっかり走り込んで、もう一度作り直すことができました。そのおかげで箱根は4位になれたと思うので、前回以上の結果を残すには、それ以上やらないといけないと思っています。昨季の経験をしているので、それをチームに伝えていきたい」

 石田は昨季、チームを離れていた時期があるほどメンタル的に苦しみ、学生駅伝も出場できなかった。

「2年時の箱根駅伝で悔しい思いをしたんですけど、そこからなかなか立ち直ることができませんでした。チームから離れた期間に、自分がなぜ陸上をやっているのか? 陸上で何を目指しているのか? 自分軸を見直すきっかけになったと思います」

 石田は3000mの中学記録、5000mの高校記録を塗り替えてきた超エリートだが、挫折を経験したことで、精神的に大きく成長した。そして今季は5月の関東インカレ1部10000mで28分08秒29の自己ベストで6位に食い込み、完全復活を印象づけた。